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開業4年目以降も業績を伸ばそうと思ったら

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■開業3年で業績頭打ち
 
 一般論ですが、温浴施設の売上は新規開業からほぼ3年でピークを迎え、あとは横ばいから徐々に売上が下がっていくというケースが多くなっています。
 
開業当時は人気だった最新温浴設備も、3年も経てば消費者の目は肥え、他の施設でも導入され目新しさがなくなってきます。新たな競合店が出店してくることもあるでしょう。
 
そのような外部環境の大きな変化がなかったとしても、獲得したはずのリピート客の生活パターンが変わって足が遠のいてしまうこともあります。そうして売上はいずれ頭打ちとなり、下り坂になっていくのです。
 
売上とは、市場規模×市場占有率です。温浴施設の場合、市場規模は 商圏人口×一人当たり年間平均消費支出金額(マーケットサイズ)から算出されます。
 
温浴施設は業態によって集客力が及ぶ範囲はだいたい決まっており、その商圏の中の人口は急激に変化するものではありません。
 
入浴に対するマーケットサイズも、景気動向や地域性で多少の上げ下げはありますが、自店の力で急に増えたり減ったりするものではありません。
 
市場占有率は、開業当初は自店の認知度アップに伴って伸びていきますが、自店の存在がひと通り認知された後は、商圏内にある競合店との力関係でだいたい決着します。経営努力しているのはお互い様ですから、急に力関係が逆転したり、3番店が1番店に躍り出るのは簡単なことではありません。
 
こうして見ると、商圏人口×一人当たり年間消費支出金額×市場占有率という売上方程式は、出店した段階で大勢が決していることを示しており、3年くらいの時間をかけてそのポジションに到達した後は、自助努力で大きく売上を伸ばすのは容易ではないということが分かります。
 
その時点で事業計画の水準に到達しており、充分な利益が得られる状況が確立していれば良いのですが、まだまだこれでは不十分…という場合は大変です。
 
 開業当初は、自店の近隣商圏(一般的に自動車で10~20分圏の範囲)に対してチラシやポスティングでアプローチすることで良い結果が得られます。
 
それは、認知度が充分でない段階ではまず知ってもらうことが重要なのと、近隣住民の方が広告を見て「行ってみようか?」と反応する確率が高いし、初回来店後にリピーターになってくれる確率も高いので、順調に広告宣伝の効果を上げながら売上を伸ばすことができるということなのです。
 
しかし、開業から年数が経過して存在が知れ渡った施設がいくらチラシやポスティングをやっても、当初ほどの反応は得られなくなってきます。反応してくるのは新規客ではなく、イベントやキャンペーンによって行く店を使い分ける、いわゆる浮気客が多くなってくるのです。
 
競合店の休館日になると自店の客数が伸びるという現象がみられる施設は多いと思います。それだけたくさんの浮気客がいるということです。
 
季節のかわり湯、レストランの新メニュー、楽しいイベント…と次々に企画を考えて集客を図っても、浮気客は一時的には来店しても、なかなか自店だけに定着してはくれません。
 
そんな浮気客に対して広告宣伝やイベントのコストや労力をかけ続け、競合店と同じパイの奪い合いをして一喜一憂するのが果たして得策なのでしょうか?
 
「いや、既存客の来店頻度をアップするのも客数を増やすことになるでしょう?」と思われるかも知れません。確かにそれもありますが、月1回、週1回、週3回ペースの人…それぞれの事情や生活パターンがあってそうなっているので、それを店側のアプローチで急に変えるのは簡単ではないと思います。
 
来店頻度を上げるということは、言ってみればマーケットサイズを増やすということです。入浴料のマーケットサイズはこの何年間も全国平均1万円弱で頭打ちになって、むしろ縮小傾向にあります。
 
マーケットサイズは、住宅費を払ったり、食事をしたり、携帯電話を使ったりする、あらゆる消費支出との競争であり、現在も国民の消費全体が縮小傾向にある中で、これを店側の努力だけで簡単に増やせるようなら苦労はありません。
 
 ここで頭の切り替えが必要になります。
 
 
■開業4年目以降の戦略
 
 イベントや新メニューで目先を変えたり、それをチラシやポスティングあるいは館内で告知するのは「近隣商圏の深耕と既存客のリピート促進」という戦略です。「まず足元を固める」という意味では間違っていませんが、いつまでもそればかりを続けているのはローギアのままでアクセルを踏み込み続けているのと一緒で、スピードはそれ以上出ません。
 
近隣商圏客がまず重視するのは、
①温浴施設として基本的な要素が揃っていること
②地域一番の魅力があること
です。いろいろな部分で、特に分かりやすいハードで地域一番と言える魅力を持っていれば、近隣商圏内で高い市場占有率を獲得することができるはずです。その意味では「3年目までは地域一番化戦略で勝負する」と言っても良いでしょう。
 
そして、近隣商圏の開拓が既にある程度の水準に達した後、そこからさらに一段階上の売上を目指すためには、客単価を伸ばすように館内改善・強化しながら、より広域商圏にアプローチしていく方向へとシフトチェンジしなければならないのです。
 
客単価アップと広域商圏へのアプローチは戦略的な方向性としては一致するところが多くあります。要は「遠くからでもわざわざ時間と交通費をかけて行ってみたくなる魅力を持ち、それを効果的に訴求する」ということです。
 
「わざわざ行ってみたくなる魅力」にするためには、小さな近隣商圏内で一番であるだけでは足りません。より広域(県~全国)で一番、あるいは唯一無二の存在になって行くという考え方が必要になります。
 
「日本一」とか「唯一無二」と言うと、別府温泉の湧出量やスパリゾートハワイアンズの露天風呂を想像してとてつもなく高いハードルのようにも感じますが、運営レベルや商品レベルで日本一を創り出すのはそこまで難しいことではないのです。
 
既存客と近隣商圏を大切にするのはもちろんのことですが、いつまでもそこばかりを見るのではなく、もうちょっと視野を広げて広域商圏にアピールできる価値を創り出し、それをインターネットやパブリシティを上手に活用して情報拡散できれば、4年目以降もまだまだ売上アップは可能なのです。
 
何故なら、近隣商圏と比べて広域マーケットは遥に大きく広がっているからです。頻繁に来店してもらうのは難しいかも知れませんが、年に数回でも来てくれる広域リピーターを着実につかむ実力を備えれば、業績はまだまだ伸ばせるでしょう。
 
「3年目でピークを迎えてそこから落ち目、いずれ来る設備の大更新時期で事業継続断念…」その轍を踏まないために、4年目以降のシフトチェンジについてぜひ考えてみてください。 
 

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