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手放すことを考える前に

 最近、「温浴施設の運営委託先や売却先を探して欲しい。」というご相談が増えています。

自ら運営することを断念するくらいですから、多くの場合業績は不振ですし、決算書は赤字です。

 売却の場合は、買い手に「事業価値はキャッシュフローや税引き後利益のX倍」という判断をされます。赤字の事業ということは「現時点で事業の価値は評価できない。」ということになりますから、不動産価値を評価するしかありません。

温浴施設は建物として非常に特殊なつくりですので、他の用途に転用できる可能性というのは非常に狭い範囲になります。温浴施設としては赤字なので継続できないとなれば、建物と設備は残念ながら産業廃棄物になるしかありませんので、取り壊しや撤去に大きな費用が発生します。

したがって、「土地の不動産価値-撤去費用=購入可能額」ということになり、あまり楽しい話にはなりません。

 運営委託の場合も、赤字リスクをそのまま他者に押しつけようとしても到底引き受け手はありませんから、もしそのまま誰かが受託するとしたら、リスクを一切負わない(赤字が出た場合は委託側が負担する)契約しか成立しないでしょう。これも運営受託側のモチベーションは上がりませんし、お互い楽しい話ではありません。

売却先や運営委託先の企業が黒字化の可能性を見出し、それを含めて快く引き受けてくれればいいのですが、世の中そんなに甘くありません。赤字のままだと、交渉は購入側・受託側が絶対的に優位な中でしか進まないのです。

 これを楽しい話に変える方法がひとつあります。

それは、「手放す前に収支を改善すること。」です。

赤字の事業を黒字化するのは簡単なことではありませんが、実際の売却案件や委託案件の現場を見ると、多くの場合いくつもの売上アップやコストダウンによる収支改善の可能性を残しています。

これをせめて収支トントンのところまで持っていくことができれば、「この施設は優れた運営力を持った企業なら黒字化できる!」ということになり、値段がつく(対等の立場で交渉できる)可能性が出てくるのです。

ですから、いま売却や運営委託のご相談をいただいている企業様には、損益改善可能性診断を受けていただき、できる範囲で改善の活動にも取り組んでいただくようにお願いしています。仮に本当に売却や運営委託をすることになったとしても、交渉結果はだいぶ違うものになるはずです。

 今話題のかんぽの宿一括売却問題も、同じ様なことだと思います。「年間50億円の赤字を垂れ流す不良債権」ということが前提である限り、誰もが納得できるような健全な決着をみるのは難しいでしょう。

簿価がいくらであろうと、高く売ろうとすれば誰も買わなくなってしまう…という現実に直面するだけです。

ではいくらで売れば妥当なのか?という議論ではなく、本当に赤字を解消することはできないのか?売却しか方法はないのか?というところに立ち帰ることが、本来の解決の道なのではないでしょうか。

 ただし、ひとつ問題があります。それは「実際に収支を改善するには時間がかかる。」ということです。改善点を見出してそれを改善し、結果が収支に現れるまでには、早くても数カ月、長ければ何年もの時間が必要です。

その結果が待てないような状況に陥る前に手を打つことが大切で、もう待ったなしの状況であるならば、引き受け手優位の交渉になることもやむを得ないでしょう。

 このようなことを考えていくと、これからは“事業を健全化する運営力を持った企業の存在”が、より重要な時代になるのではないかと感じます。

かんぽの宿に限らず、世の中にはハードは立派でも運営がおぼつかない施設があふれていますから、需給バランスから考えても“優れた運営力”の必要性が高まると予想できます。

運営力とは、簡単に言うと「人材とノウハウ」です。

いくら立派なハードや潤沢な資金があったとしても、人材とノウハウに乏しければ事業は健全化しません。

今までどちらかというと軽視されてきた人材とノウハウを、大切に育ててきた企業こそが、これからの時代を担うのだろうと考えています。

【関連記事】
かんぽの宿」問題について、ひとこと言わせてもらいたい。20090123

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