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投資と企業経営

 仕事柄、今まで数えきれないくらいたくさんの事業収支計画を作成してきました。前職の大手コンサルタント会社に在職中、作業を効率化するために自分でシミュレーションソフトを作ってしまったほどです。

そういう立場ではありますが、本音を言うと「利回り」とか「投資回収」といった考え方に抵抗を感じる時があります。

もちろん、かけた投資や運営コストに対してどれだけの業績を上げなければならないかを理解することは大切です。

しかしその業績は、経営方針の立て方や支配人や現場スタッフの力、つまり人の要素によっていかようにも変わってしまうものなのです。

環境の変化ではなく、人の変化によって業績が突然3割ダウンしたり、3年連続で120%アップしたりという例はいくらでもあります。

それがサービス業の経営なのです。

そこへ資産運用的に「年率●%の利回り」といった概念を持ちこむことは本当はそぐわない、と思うのです。

 いま、ホテルや旅館、温浴施設などの売買案件情報が盛んに行き交っています。
先日も海外の大手投資ファンドが日本上陸、とのニュースがありました。記事によれば、

> 手始めに、国内のホテルなど不動産投資を手がけ、その後は企業買収に関与する見通しだ。

とのことです。

このようにして売買された施設は、おそらくハードの化粧直しを行い、厳しい成果主義のもとに運営されることになります。

 サービス業と成果主義は特に相性が悪いようです。企業の力とは、現場で上司から部下、先輩から後輩へと伝えられる有形無形の教育によって蓄えられていくものです。成果主義によってそれが途絶え、組織としての教育力が衰退してしまうのです。

 評価基準が業績偏重になれば、ベテランも若手と競合することになり、教えるだけ損になります。お金で釣ることによって目先のモチベーションは高まるかも知れませんが、持続性も組織としての蓄積も期待できません。

もっと怖いのはモラルハザードです。温浴業界でも偽装表示事件や温泉爆発事件などで企業倫理が問われましたが、短期的な業績を上げるのに必死になった社員の焦りは、目に見えにくい部分で安全性の軽視や不正を引き起こしかねません。

 成果主義にもいいところがないわけではありません。短期的なコストカットと業績回復を可能にすることです。とはいえ、それはせいぜい2~3年のことで、それ以降は業績も頭打ちとなり、むしろ弊害のほうが大きくなってきます。

温浴事業は設備への投資が大きく、なかなか2~3年の短期で投資回収というわけにもいきません。サービス業としての息の長い成長がなければ、結局期待する利回りも得られないのです。

 先日芳中 晃さんと話していた時も、「TDLは世界のディズニーリゾートでは唯一、経営・運営会社にディズニーの資本が全く入らない、ライセンス契約による経営・運営を行ったことが成功要因のひとつだった。」という話題が出ました。

資金がなければ事業は始りませんし、利益が出なければ存続できないのは当然のことです。しかし、資本の論理と現場の論理にどう折り合いをつけるのか、ということには細心の注意を払う必要があります。

そうしなければ、サービス業という生き物はすぐに弱ってしまうのです。

 

 季節はずれの台風が来ているせいか、書いているうちにいろいろ思い出して、ちょっと熱くなってしまいました。(笑)

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コメント

ほんとにサービス業とは大変な仕事ですね。先日もある都市型サウナの支配人からレスト飲食の販促について相談がありました。サンプルケースを主体とした現状から、何か新しいアプローチはないかと。ただ、聞いてみるとメインの商品がぼやけている。これといって味に対するこだわりもない。つまり、売り物がない。そういう場合、メニューや装飾をきれいにしたからと言って、売上アップにはなりません。根本のメニュー内容を検討し、新商品の開発力(一般の飲食店のように本日のおすすめ、季節のおすすめをコンスタントに提供できる体力)をつけないと、かけた経費の回収も難しそうです。支配人もそのあたりは十分にご承知で、とりあえず現状打破の起爆剤としたいとのことでした。気の持ちようで大きく成果が変化する。商品に対する情熱が売上として認知される感覚を少しでも体感できれば、変わっていくんじゃないかと。

投稿: Dynamites01 | 2007年10月31日 (水) 06:13

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