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苦い記憶

 昨日配信したメルマガで「温浴業界は情報不足」ということを書いていて、ふと昔の記憶が甦ってきま した。

前職の大手コンサルティング会社で温浴事業のコンサルティングをスタートし、どのような方向に活動していったら良いのかを試行錯誤(今もですが)していた頃のことですが、たまたまいくつか地方自治体から公共温浴施設の仕事をいただきました。

当時は第3セクターに代表される公共温浴施設の赤字が問題になっていて、いかにして健全な黒字の公共温浴施設をつくるかということに頭を悩ませていたのですが、その時ぶつかったのが「地元優遇」の壁でした。

 地方自治体で何かの施設を整備をする時は、最初の調査から企画、設計、施工に至るまで「なるべく地元企業に仕事を発注しよう。」という考え方があります。地域経済の振興を考えれば当然のことですし、打ち合わせのフットワークといった物理的な判断もあるのですが、こと温浴施設に関しては、ひとつの地域の中にある調査会社や設計事務所では、温浴施設開発に関する豊富な実績やノウハウを有していることはまれです。

結果として、経験不足・情報不足の状態の中で、企画・設計が進んでしまうこととなり、それが赤字公共温浴施設ができる原因になっているのではないかと感じました。

運営赤字の問題のみならず、初期投資の無駄遣い、顧客満足度の低さ、不十分な管理運営レベルなどの諸問題はすべて情報不足に起因しているのではないかと思いました。

 「このままでは問題を抱えた公共温浴施設が次々とできてしまう!」と思った私は乏しい人脈をたぐり にたぐって、当時の厚生労働大臣の秘書の方との面会にこぎつけました。

そして何度か議員会館に足を運び、厚生労働省の担当部署に文書で意見を伝えるところまではいったのですが、結果としては文書で 「国としては公共温浴施設開発が適正に行われるよう、これだけの支援・指導をしている」───という丁寧な回答を受け取り、交渉力に乏しかった若輩の私は、それ以上のアタックをあきらめました。

サラリーマン金太郎だったらここでひと暴れして、カッコ良く事態を切り開いてしまうのかもしれませんが、現実は漫画のようには行かず、当時の私はその文書を読んで失望してしまい、もう次の手が思い浮かばなかったのでした。

 それから約1年後、2002年の7月宮崎県日向市にオープンしたばかりの公共温泉で死者7人を含む300人近いレジオネラ菌集団感染者を出すという事故が起きてしまいました。原因は一言でいえば 「レジオネラ菌の危険性に関する認識の不足」でした。

設計段階から運営まで、すべてにおいて情報が不足していたのです。 温浴業界としても非常に残念な事件でしたが、同様の問題に気づいていながらどうすることもできなかった自分の力不足を情けなく思いました。

 今だからこうして書いていますが、当時は「業界の発展とか大それたことを言う前に、今はまず目の前にある仕事をしっかりやろう…。」と考えるしかなく、以来自分としては大きな話はあまりしなくなったように思います。

 あれから4年。業界はどのくらい発展したのでしょうか。そして自分自身はどれだけ前進できたのか。自分の責任で行動できる立場となった今、あらためて温浴業界の発展のためにできることは何かを考えています。

 

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